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委員会資料

第6回JPドメイン名諮問委員会議事録

  株式会社日本レジストリサービス  第6回JPドメイン名諮問委員会議事録


1. 日    時: 2003年9月18日(木) 14:00 ~ 16:00


2. 場    所: ホテルグランドパレス 408『桐の間』
              〒102-0072  東京都千代田区飯田橋1-1-1
              Tel 03-3264-1111 Fax 03-3230-4985


3. 出 席 者: 後藤滋樹委員長
              松本恒雄副委員長
              飯塚久夫委員
              加藤真代委員
              加藤雄一委員


4. 陪 席 者:  東田幸樹(JPRS 代表取締役社長)
              佐野晋(JPRS 代表取締役副社長)
              宇井隆晴(JPドメイン名諮問委員会事務局)


5. 次  第:
   1. 開会
   2. 議題
       (1) 指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名とその登録
           者の保護について
       (2) JPドメイン名の登録管理業務における公平性・中立性について
       (3) その他
   3. 閉会


6. 資  料
   資料1  JPドメイン名諮問委員一覧
   資料2  諮問書「指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名と
                  その登録者の保護について」
   資料3  「指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名とその登
            録者の保護」に関する論点について


7. 議  事(◎は委員長、○は委員、●は JPRS 取締役および事務局の発言)

《開催の挨拶》

   ● 今回より、前回の委員会にてご推薦いただいた加藤真代委員にご出席をいただ
   いている。本日、5名の委員の方にご出席いただき、諮問委員会規則での議決定
   足数を満たしている。また、本日は、JPRSの役員として、社長の東田、副社長の
   佐野が陪席させていただくことをご了承お願い申し上げたい。

《指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名とその登録者の保護について》

   ● それでは、本日の議事次第に従い、指定事業者制度の下での特定の状況におけ
   るJPドメイン名とその登録者の保護について、JPRSより本議案に関する諮問書の
   提出に先立ち、まずはJPRSの社長の東田より一言ご挨拶申し上げたい。

   ● 昨年度本委員会にてご答申いただいた内容に基づき、現在、JPRSでは規則の改
   改訂とサービスの見直しを行っており、11月17日にその一部を規則に反映する方
   向で進めさせていただいている。更に来年にかけて、より踏み込んだ改訂を行う
   べく、議論を行っている。
   昨日9月17日には、東京でパートナーズミーティングを開催させていただき、規則
   の改定に関する説明をさせていただいたところ、200名以上の指定事業者のご参加
   をいただいた。その中でも、本委員会での議論に基づいたレジストリとしての活
   動などに関して、評価をいただくことができた。
   今年もさまざまな議題の議論をお願いすることになると思うが、是非とも宜しく
   お願いしたい。

   ◎ 今回の諮問事項は、第5回の委員会での活動計画に関する議論に基づき、その
   中で挙げられた「指定事業者契約が終了となった際の、登録者とドメイン名の保
   護方策について」および「指定事業者の権限により廃止届が出されたドメイン名
   の保護方策について」に係る内容となっている。

   本議案について、本日はまず諮問事項に関する具体的な論点を洗い出し、議論を
   行いたい。答申については、第5回でのスケジュールに従い本年度中に答申書の作
   成を行う予定で進めたい。

   それでは、答申書の内容について事務局よりご説明をお願いしたい。

        資料2「諮問書『指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名
        とその登録者の保護について』」および資料3「『指定事業者制度の下での
        特定の状況におけるJPドメイン名とその登録者の保護』に関する論点につい
        て」につき、事務局より説明が行われた。

   ○ レジストリが解約となった指定事業者の管理下にあるJPドメイン名に関する実
   業務は、現在JPRSが行っているとのことだが、これはレジストラとしてのJPRSが
   行っているということか。

   ● JPRSには、現在レジストリとしての事業部門とレジストラとしての事業部門が
   あり、本件については現在レジストリ部門からレジストラ部門に委託している。

   ○ 同一の組織がレジストリとレジストラを兼ねていることに問題はないのか。

   ● JPRSのレジストラ部門は、他の指定事業者の活動を阻害するものではない。
   過去JPNICがJPドメイン名の登録管理業務を行っていた時代に、JPNICとの直接の
   登録関係にあったユーザも、原則としては他の指定事業者に移っているが、当初
   の考え方として、学術官公庁など一般の指定事業者のサービスではなくドメイン
   名の登録のみを必要とするようなユーザを想定し、その必要性からJPRSにもレジ
   ストラ部門を設けている。

   今後のJPRSにおけるレジストラ部門の扱いについては別途検討が必要と考えてい
   るが、本件に関しては、現状、レジストリ部門からユーザに対するサービスを提
   供できる窓口として依頼をする形で活用している。

   ○ 指定事業者が登録者に対して提供しているサービスとその料金は、指定事業者
   ごとに異なるはずだが、他の指定事業者に移る際には、登録者に対してその費用
   等の差異をどのように扱うべきかという問題がある。

   ● 解約となった指定事業者から、登録者が他の指定事業者に移る場合、登録者は
   一定の期間内に指定事業者を自分で選択する形になっている。この際に、移転先
   を強制されてしまうと問題が生じるため、登録者は、現在数百社あるJPドメイン
   名の指定事業者の中から、求めるサービスや料金を勘案して移転先を選択する、
   という形をとっている。

   ○ 解約となった指定事業者の管理下にあるJPドメイン名とその登録者の保護にか
   かる業務とは、具体的にはどのような内容でどういったコストのかかる業務なの
   か。また、発生したコストの対価はどのように取り扱っているのか。

   ● 登録者が移転先の指定事業者を選択するまでの一定期間、そのドメイン名の登
   録を維持することが、その具体的な内容になる。これに伴い、登録者に対する案
   内や問い合わせ対応が発生するので、この部分がコストとしてかかってくる。

   登録者は、ドメイン名が次の指定事業者に移って、新しい指定事業者がサービス
   を開始した時点からその指定事業者に対価を支払うことになるが、保護業務の対
   象となる期間については、登録者がJPRSのレジストラ部門にその対価を支払うと
   いうことはない。

   ○ 指定事業者を変更した場合、メールアドレスなどで利用しているドメイン名が
   変わるなど、影響はあるのか?

   ● ドメイン名に関するサービスの受け先の指定事業者が変更になった場合でも、
   登録されたドメイン名に影響が出ることはない。

   ○ ドメイン名の維持のみが目的の登録者であれば、更新だけできればよいという
   ニーズと思われるので、JPRSのレジストラ部門が行うことで問題ないと思う。
   しかし、一般のユーザにとっては、ホスティングなどと込みでサービス受けてい
   る場合、その指定事業者がいなくなり、それらのサービスが失われることの影響
   が大きい。ドメイン名の問題は、指定事業者変更の問題の一部として考えるべき
   ではないか。

   ◎ レジストリとしての最終的な範囲の問題とは別に、前提としては、登録者の受
   けるサービス全体のなかで考える必要はあるだろう。

   ○ ドメイン名のレジストラという観点だけではなく、接続事業者としての観点か
   ら議論をしておかないと、本当の意味での登録者保護、ユーザ保護の議論はでき
   ないと思われる。たとえば、登録者の側からすると、提供されるサービス全体を
   勘案して、JPRSから移行先の指定事業者を具体的に推薦してほしいと考えるだろ
   う。実際には、レジストリとしてのJPRSは、特定の指定事業者を推薦することは
   できないと思うが、こうしたこともユーザのニーズとしてあると思う。

   ● 実際、JPRSで受ける問い合わせには、次にどの指定事業者でサービスを受けた
   ら良いのかという内容のものが多い。現実には、レジストリとして公平性・中立
   性からも、特定の指定事業者の推薦等はできないため、登録者ご本人に選択して
   選んで頂くという立場に徹しており、JPRSのWebでも、サービスメニューの情報を
   含めた指定事業者一覧を掲載し、その中から登録者に選択してもらうような情報
   提供は行っているが、700社を超える指定事業者の中からの選択になるため、料金
   やサービスを含めて推薦してほしいという問い合わせは頻繁にいただいている。

   ● 登録者の意に反してドメイン名の登録が継続されない場合、他のユーザにその
   ドメイン名を登録されてしまうということが起こりうる。JPドメイン名のレジス
   トリとしては、ドメイン名登録者の保護に関して、こうした状況を発生させない
   ことを第一義的に考えている。今回の諮問の趣旨としては、他のサービスを含め
   た全体のなかで、ドメイン名の登録および利用の継続性をいかに確保するか、と
   いう部分に重きを置いている。

   ○ 接続サービス等については一旦切り離すという考え方であれば、まずはドメイ
   ン名の登録を維持することについては、登録者から登録料・維持料の支払を受け
   て、現状のJPRSのレジストラ部門が行うということで問題はないと思う。ユーザ
   としては接続等の問題から、サービス提供者を自分で探さなければならないだろ
   うが、これは別の次元の話になる。

   ○ ドメイン名の登録を維持することに関わる部分は、むしろJPRSのレジストラ部
   門が中立的な立場で行う必要があるだろう。

   ○ 逆に、資料中に他の指定事業者への委託も含めた枠組みにすべきかどうかを検
   討するとあるが、この部分を他の指定事業者に委託する意図、または、委託が必
   要となるような背景があるのか?

   ● JPRSのレジストラ部門はドメイン名の登録管理の維持のみをサービスとして
   提供しているため、ホスティングや接続サービス等それ以外のサービスを必要と
   するユーザについては、他の指定事業者を選択する必要がある。

   だが、維持のみであればJPRSのレジストラ部門で問題がないかというと、必ずし
   もそうではない。JPRSのレジストラ部門は、一部の特殊な登録者を想定している
   という本来の位置づけから、一般の登録者にサービスを提供するのにふさわしい
   体制になっていない。また、ドメイン名の登録のみのサービスを提供する指定事
   業者も実際に存在し、料金についても、これらの指定事業者と比較した場合、安
   いとは言えない現状があるため、指定事業者契約が終了となった際に宙に浮いて
   しまったドメイン名に関して、JPRSのレジストラ部門でその管理を一本化するこ
   とは考えていない。

   ○ 登録者が移管先の指定事業者を選択するまでの一時的な状態に関してなら、そ
   の期間におけるコストをどう取り扱うかについては検討の余地があると思うが、
   基本的にはJPRSのレジストラ部門で問題ないのではないか?

   ● 指定事業者選択までの一時的な期間については、問題ないと考えている。
   ただ、現状の運用では、登録者に指定事業者の変更の案内を出した結果、登録者
   からの連絡がないドメイン名については、そのままJPRSの指定事業者部門でその
   管理を引き継ぐことになっている。

   つまり、連絡がなかった場合など、指定事業者の変更の意思を持たない登録者を
   含めたドメイン名については、自動的にJPRSのレジストラ部門の利用者として引
   き受ける構造になっており、これが妥当かどうかという論点と関連してくる。

   ○ 指定事業者契約の解除などの場合に、期限までに指定事業者を選択し、意思表
   示がない場合はJPRSのレジストラ部門が選択されるということは、登録者にはあ
   らかじめ示されているのか?

   ● 示されている。

   ○ そのことが示されたうえで必要な期間待つのであれば、本人意思は確認できた
   と考えてよいのではないか。だとすれば、本人の意思確認ではなく、提供される
   サービスと、JPRSのレジストラ部門と他の指定事業者の競合の問題ということに
   なるだろう。

   ○ ドメイン名の維持だけを目的としている登録者にとっては、そのサービスが適
   切な価格で提供されれば充分なので、JPRSのレジストラ部門のサービス価格が他
   の指定事業者と比較できる形で示されていれば、他のドメイン名の維持のみの
   サービスを提供している指定事業者を選択できるので、問題ないだろう。だが、
   他のサービスとセットで利用している登録者の場合、有利なサービスを見分けに
   くい。

   そうしたユーザの場合は、従来の指定事業者が廃業するなどした場合には、他の
   サービスがなくなってしまえばそもそもドメイン名が利用できないという状況に
   陥る可能性が高いため、ドメイン名だけ維持してもあまり意味がなくなってしま
   うのではないか。

   ○ 一般的に、事業者はサービスを停止する場合にはユーザの移管先を決定するの
   が当然だが、それが行われない特殊な場合ということになるのだろう。ただ、そ
   の場合は、そうした事業者を選択してしまったユーザの利用責任も若干あるだろ
   う。いずれにせよ、移転先を選択すべき旨の案内があれば、利用者としては、通
   常は必要なサービスを受けられる移管先を選択するものだと思う。

   ◎ 実際には、登録者に連絡が取れないドメイン名もある程度保護できるように取
   り扱うなど、多様なケースを含んでいるので難しい問題ではある。

   ○ レジストリが指定事業者に登録者保護の業務を委託するにあたり、そのコスト
   を補填すべきかどうかという論点の背景は何か?  現状その業務を行っている
   JPRSのレジストラ部門の負担がかなり大きいということか?

   ● 現実問題として、登録者への案内や意思確認にかかるコストは大きい。この論
   点の背景として、将来的にその枠組みをJPRSのレジストラ部門だけではなく他の
   指定事業者まで広げたときの根拠と、指定事業者に対する引き受けの意思確認に
   つながるものと考えている。

   ◎ 基本的な問題に関する理解を深めることはできたので、次回以降、答申に向け
   て引き続き議論していきたい。

        諮問委員会規則第4条に基づき、資料2としてJPRS取締役会より諮問書(JPRS-
        ADV-2003001)が提出された。


《JPドメイン名の登録管理業務における公平性・中立性について》

   ◎ 引き続き次の議題に進みたい。本件は諮問事項ではないが、本委員会の検討事
   項として、議論に先立ち、内容の理解を具体的に深めてゆきたい。
   まずは、JPRSよりご説明いただきたいと思う。

   ● JPドメイン名の登録管理業務における公平性・中立性という問題は、非常に根
   本的なテーマであり、そもそも本委員会もJPドメイン名の公平性・中立性の担保
   を目的として設立されたという経緯がある。

   JPRSとしては、曖昧な部分がありながらも、常に公平性・中立性というものを意
   識しつつ業務を行ってはいるが、あえて議論をして明確な定義を模索し、ある程
   度のコンセンサスを求めてゆきたいと考えている。

   まずは、「公平性・中立性」という言葉の歴史的経緯について、かいつまんでご
   説明したい。

   ・「公平性・中立性」の歴史的経緯

     1994年3月のRFC1591「ドメインネームシステムの構造と権限の委任」の中で、
     IANAによるドメイン名の管理体系をデザインしたジョン・ポステルが公共性、
     公益性について言及している。このRFCでは以下の旨の記述がされている。

      - 国コードドメイン名は各国の運用管理者によって組織され、各国の運用管理
        者は名前の階層の一部を委任できる
      - 委任の管理はインターネットコミュニティを代表した公共サービスの提供

     また、運用管理者の条件として

      - 必要な責任を果たすことおよび業務に関して公平・公正・誠実で、充分に満
        足のゆく仕事をこなす能力がある
      - 指定運用管理機関はその管理ドメイン名において、ドメイン名の登録を申請
        するすべての団体に公平でなければならない

     などの記述があり、ドメイン名の運用管理は公共サービスであるという前提が
     述べられている。その後締結されたICANNとのccTLDスポンサ契約をはじめとす
     る各種の契約も、この「ドメイン名の登録管理業務は公共的サービスである」
     という前提のもとで作られ、JPRSの業務も同じ前提のもとで遂行されている。


     2000年12月のJPRS設立に関するJPNIC総会での議論の際に総会で用いた資料では、
     新会社(JPRS)に対するコーポレートガバナンスに関し、「公益性・中立性をど
     のように担保するか、慎重な対応が必要」との記載があり、その方法について
     も議論されている。

     この総会の中で「公平性・中立性の担保のために諮問委員会を設置し、重要な
     方針を決定する」という旨の議論がなされ、JPRSはこの総会における約束に基
     づいて運営されている。


     2001年11月の「JPドメイン名登録管理業務の移管に関する覚書」は、JPドメイ
     ン名の登録管理業務を移管するにあたり、その原則を規定した文書であるが、
     この中でも、

      - JPRSは、JPドメイン名の登録管理業務が公共性を持つことを認識し、日本の
        インターネットコミュニティの健全な発展に寄与することを目的とし、また、
        全世界のインターネットコミュニティの発展にも資するようにJPドメイン名
        の登録管理業務を運用する。
      - JPRSは、JPドメイン名の登録管理業務の公共性を担保するため、JPRS内に
        「JPドメイン名諮問委員会」を設置する。
      - JPRSは、JPドメイン名の登録管理業務を公益的な信託に基づいて実施し、JP
        ドメインそれ自体に関する財産権を主張しない。

     との条項がある。ここでの「公益的な信託」とは「インターネットコミュニテ
     ィの信託」と考えている。

     歴史的経緯としては、このような形で、JPドメイン名の運用管理の「公平性・
     中立性」等については、随時個別に議論・検討しながらJPドメイン名の登録管
     理業務が遂行されてきたが、この「公平性・中立性」の意味について明確に定
     義したドキュメントはなかった。


   ・「公平性・中立性」等の基本的な概念について

     こうした経緯のもと、「公平性・中立性」の定義に関して、本委員会での議論
     をお願いしたいと考えているが、これらの言葉の基本的な概念について、おお
     まかな部分をまとめたものをご説明させていただきたい。

     これらの概念は、JPRSとしてもまだ検討段階にあり、時代によっても変遷して
     ゆく部分もあるので、現在、JPRSとしてこの定義をもって業務を遂行している
     ものではないが、ご参考として、これをベースにご議論をいただければと考え
     ている。

     ドメイン名の登録管理業務はインターネットコミュニティからの信託と公共性
     に基づいて実施しているとの前提のもと、おおむね以下のような定義が可能で
     あると考えている。

     「公益性」:インターネットコミュニティ全体の利益。
                 インターネットコミュニティとは、登録者、ドメイン名利用する
                 一般のユーザ、指定事業者などによって構成されるコミュニティ。

     「公共性」:特定の集団に限られることなくインターネットコミュニティ全体
                 に利害・影響をもつ性質。
                 DNSサーバの運用やデータベースの運用などがこれに該当する。

     「中立性」:登録者や指定事業者に対して中立な立場。
                 方針策定の neutrality

     「公平性」:登録規則に基づいた業務。登録者や指定事業者に対して(規則に
                 基づいて)同等に取り扱うこと。
                 日々の業務の fairness、equitability
                 具体的には、登録者や指定事業者に対して登録規則に基づいて適
                 切に対応を行うこと。

      基本的な考え方としては、上記のようなものを想定しているが、より具体的で
      明確な定義については、本委員会での検討をお願いしたい。

      現在は、上記のような歴史的経緯および基本的な考え方・方向性のなかで、JP
      ドメイン名の諮問委員会が動いているという形になる。

   ◎ 本委員会に関しても基本的な部分にあたる議論であり、今回のように随時見直
   す必要がある内容であると思う。今回、諮問事項という形ではないが、委員各位
   からは、是非とも共通の理解に至るようなご意見、ご質問いただきたい。

   ○ 業務の fairness という部分に関しては、本委員会の公開や、Webページ等に
   おける情報公開などによってこれを確保していこうという動きは理解できる。
   一方で、業務的な透明性の確保に関する部分は、日常の業務のなかで具体的にど
   のように確保しているのか。たとえば、指定事業者や登録者、またはその他関連
   団体からの意見や苦情等について、どこかで公開をするといったことも考えられ
   るのではないか。

   ● 日常の業務的なご意見等については、業務上ないしは業務改善等による対応を
   はかりつつ、社内的には問題点を洗い出して役員会等で検討して解決するなどし
   ている。問題のある部分については、原則として可能な限り規則ベースで対応し、
   解決してゆくという方針のもと、ドメイン名の登録規則にフィードバックしなが
   ら進めており、本委員会での課題についても、そうしたご意見などの中から、特
   にドメイン名の登録管理業務の根幹に深く関わるものを吸い上げつつ、挙げさせ
   ていただいている。

   また、充分と言えるかどうかはわからないが、パートナーズミーティングなど、
   できるだけオープンな場でも皆様からご意見を伺うなど、今後もできる限りのこ
   とはして参りたいと考えている。

   ○ そうした公開の場に参加していない人にも、そうした努力が伝わるような何ら
   かの仕組みを持つことも重要だと思う。公共的な業務を行う企業として、透明性
   の向上に対する要請は、通常の株式会社よりは要請が高いと考えられるので、努
   力に対する理解を促進するためのアピールも必要だろう。

   ◎ そうした情報を広く一般に伝えるためのメカニズムは確かに重要だろう。ただ
   し、JPRSに寄せられた具体的なご意見等を実際に公開するといった場合には、取
   り扱い情報に具体的な名称や利害関係が絡んでくる等、難しい部分もあるかとは
   思う。

   ● 実際に、JPRSに寄せられるご意見等の中には、個別の指定事業者に深く関連す
   る話などもあり、公の場に恒常的にみせてゆくのはなかなか難しい部分もある。

   ○ きちんとやっていることを見せて行くという意味でも、具体的な情報伝達の努
   力は重要だと思う。

   ● 透明性向上のための情報公開の方法等については、今後も鋭意検討してゆきた
   い。

   ○ JPRSで「公平性・中立性」という言葉について、基本的な考え方を持っておく
   ことは重要であり、それを本委員会の場で定義することは良いと思う。ただし、
   「公平性・中立性」以前の問題として、そもそも「インターネットコミュニテ
   ィ」という言葉についても定義が問われると思う。インターネットの利用も多様
   化し、たとえば携帯電話からのユーザもインターネットコミュニティに含まれる
   のかどうか等、あらためて検討すべき時期にあるのではないか。

   ○ インターネットコミュニティというものが世界的に拡大してきたからこそ、公
   共性・公平性・中立性などが重要になってきているといえる。かつての一部の研
   究者による閉ざされた世界ではなく、生活に直接かかわるからこそ公共性が高ま
   っており、その公共的な事業をJPRSは日本でただ一社行っているからこそ、公平
   性・中立性の議論が求められるのだと思う。

   ● 先ほどご説明したドキュメントも、そうした意味ではかつての小規模なインタ
   ーネットコミュニティにおけるものであり、あくまで昔からの経緯をまとめると
   こうなる、というものでしかない。インターネットの変遷に従い、インターネッ
   トコミュニティも再定義されるべき時期だと思う。

   ○ 先の内閣府の国民生活審議会で、事業者のコンプライアンスプログラムを進め
   る旨を公表し、各社がそれぞれの規模・事業内容に応じた企業倫理の具体化を行
   い、これを公表、実施し、監査を受けるという動きがさらに活発になってきてい
   る。こうした今日的状況を鑑みて、企業倫理の具体化という意味でも進めてほし
   い。

   ◎ インターネットの世界では、94年頃にも転機があった。93年は、日本にもWeb
   サーバが4台、当時のIANAは実質的にジョン・ポステルと事務局員が1人程度とい
   う規模だったが、94年になると、各国のドメイン名のオーソリティを巡っての係
   争が急増し、ポステル個人のレベルでは収まりがつかなくなってきたために、ド
   メイン名の管理に関して大きな見直しが行われた。現在は、その時期とはまた別
   のレベルでの見直し必要な段階が必要な段階にさしかかっており、これは、本委
   員会自身のミッションでもあると思う。

   ○ 説明責任やアカウンタビリティ等に関して、一般の事業者でも透明性が問題に
   されている状況のなかで、公益性の高い事業を一社が行っているという状態では、
   なおさらその重要性は高い。経営全体の中でも、特に業務的な透明性・説明責任
   という問題は大きいだろう。

   ◎ 政府機関であってもアカウンタビリティを求められるという時代背景もある。

   ○ RFC1591の中には「公平・公正・誠実」という記述はあるが「中立性」という
   言葉はない。JPRSの設立に関するJPNICの総会の中で、なぜ「中立性」という概念
   が導入されているのか?

   ● 社団法人から株式会社に業務が移管されることに際して、指定事業者に対して
   差別的な対応をとる等の可能性関して、当時のJPNIC会員の中で非常に強い懸念が
   あり、特に中立的であることを強調したい声が強かったため、「中立性」という
   概念が導入された。

   ◎ JPNIC会員は、その多くがドメイン名に関する事業を行っていたため、JPNIC会
   員内部の議論の中で、業務移管先の企業が事業者として競争相手になるではない
   かとの懸念があった。諮問事項の議論の中でも挙げられていたように、同一の企
   業がレジストリとレジストラを兼ねている場合、やり方によっては非常に強大な
   ドメイン名の登録事業者となりうるため、公益法人が民間会社になり、自己利益
   誘導的になったり指定事業者に対して差別的な待遇を取るのではないか、という
   懸念は大きかったと思う。

   ○ 将来的には、JPRSのレジストラ部門は別の事業体にする等といったことも考え
   られるのではないか。

   ● そもそもレジストリ・レジストラモデルに関しては、アメリカでは自然独占で
   運営すべき部分と、競争原理に基づいて運営すべき部分を分離しようという考え
   方から出発している。このモデルに基づく限り、ご指摘の通り別事業体にした方
   が健全であるとのご意見はいただいている。事業体を分ける可能性も含め、JPRS
   でも、様々な検討は行っている。

   ◎ アメリカにおけるモデルが、そもそも政府からの委託という形で始まったもの
   が、インターネットの発展に伴い事業としての色彩を強めていったという経緯が
   ある。日本におけるドメイン名の登録管理業務も、これをリファレンスモデルと
   してきた部分があるため、そうした話は出てきている。ただ、日本でこれまでア
   メリカと完全に同一の方法を踏襲してきたということはなく、独自の検討を行い、
   これが様々な局面で各国のモデルになってきたという点では、非常に先進的にや
   ってきている。本議案については、今後も議論していきたい。

        JPドメイン名の登録管理業務における公平性・中立性につき、委員会にて継
        続して審議を行う旨が合意された。


   ◎ 本日諮問書をご提出いただき、規則上の定例の会合である2月に答申を行うこ
   とになると思うが、それまでの期間に、11月前後に臨時で会合を持ちたいと考え
   ている。

   ◎ これにて本日の議案を全て終了し、第6回JPドメイン名諮問委員会を閉会する。

《閉会》

                                                                        以上

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